<得するのは自分だけ>
14日に行われたソフトバンク杉内のFA残留交渉。杉内サイドからは代理人の酒井弁護士のみ出席し、球団側は笠井オーナー代行が同席した。
杉内が求めているのは、過去の実績があまり重視されず、減額幅が大きい成果報酬型の新査定制度の見直し。これに対し、笠井オーナー代行は「完璧という制度はない。常に見直していく」と言い、杉内の契約条件も、年俸変動制ではなく要求通りの固定年俸制で4年契約を提示した。今後、FA選手はそのどちらかを選べる案も示した。
酒井弁護士は結論こそ先送りにしたものの、
「持ち帰って検討する。査定が納得いくものに変われば、FA宣言した大きな理由がなくなる」
と残留をにおわせる発言。昨オフ導入されたばかりの新制度を1年ですべて変えることは出来なかったとはいえ、常々「僕だけの問題じゃない」と主張してきたエースにしてみれば全面勝利だろう。
だが、そんな杉内の主張をソフトバンクの選手が全面的に支持しているかといえば、さにあらず。ある球団関係者は「みんなのため、という言葉が問題なんです」と、こう話す。
「これで、杉内が残留するとすれば、結局、得したのは自分だけ。すでに契約更改が終わった選手も多く、本当の意味で『みんなのため』にはなっていない。杉内の真意はともかく、自分の年俸吊り上げのために奇麗事を並べ立てたと見る選手は少なくない。そもそも、問題になっている新査定制度をよしとする選手もいる。やったらやっただけ給料が上がるわけですから、特に実績のない若手からすればオイシイ契約ではある。『文句があるなら出て行けばいい』と話す選手もいます」
首位打者を獲得し、MVPにも輝いた内川は1億7000万円のベースに加え、出来高で9000万円をゲット。従来通りの査定方法ならば、ここまでの金額はもらえなかった。内川は「毎年毎年が勝負だと感じさせてくれる移籍だった」と目を輝かせていたくらいなのだ。杉内は「内川だってあの成績を残さないと上がらない。税金も払えない」と主張していたが、内川にしてみれば大きなお世話としか言いようがない。
酒井弁護士はこの日、「団体交渉をひとりでやっているようなもの。(労組の)委員長みたいな感じです。みんなのために闘ってる」
と強調したが、それならなおのこと、ひとりだけ破格の条件に飛びつくわけにもいくまい。残留したらしたで問題が起きそうだ。
(日刊ゲンダイ2011年12月15日掲載)














