もっとも、同じ〝22階〟から発行される「g2」にも明らかな嘘が掲載されています。
9月5日発行「g2」vol.8の167ページ。森達也氏の「受賞のことば」。
地下鉄サリン事件の実行犯として、死刑判決を受けた林泰男死刑囚からの手紙を引用しながら、こう書き連ねています。
【地下鉄サリン事件が起きる二日前の深夜、林郁夫を部屋に呼んだ村井秀夫幹部(故人)はサリン散布を命じながら、「これは……だからね」と言ったという。この時に村井は、視線を階上に送るかのような仕草をした。これを見た林は、この指示は麻原彰晃からのワークであることを認識した。この証言は当時、とても大きく報道された。
裁判においても麻原の共同共謀正犯を裏付ける重要な要素となったこの証言が虚偽であるかも知れないと記述した理由を林泰男は「部屋の位置が違う」と書いていた。事実だった。当時の麻原の部屋は第6サティアンの一階であり、村井がサリン散布を指示した部屋は三階だ。ならば「これは……だからね」と意味はまったく変わる可能性がある。
でも法廷もメディアも、そして(僕も含めて)多くの人が、「……」は「(階上にいる)麻原の指示」と示すと思い込んでいた。その程度の検証や認識すら怠っていた。
結局はこの程度の裁判だった。でもこの程度の裁判によって、戦後最大級と形容された事件の首謀者とされる男が裁かれた。謎や疑問は何も解明されていない】
……って、アホか。
林郁夫証言の「これは……だからね」の指示場面については、麻原公判でも弁護人から執拗に突っ込まれていました。
林郁夫自身の法廷でも、自身の弁護人からもこのあたりのことを尋問されています。
その度に林郁夫は、建物の構造のことではなく、当時「正大師」とよばれる最高位にあった村井秀夫幹部の上の地位にいるのは教祖でしかなく、それを示して「上からの指示」を暗に伝えたものだと理解した、と繰り返し証言しています。
それよりも、地下鉄サリン事件の裁判においてこの証言が重要だったのは、この指示伝達の場面には、林郁夫の他に地下鉄にサリンを撒くことになる廣瀬健一や横山真人、それに林泰男も同席していたことです。それなのに、林郁夫だけが「これは……だからね」と村井が動作で示唆したと言っている。林郁夫の語っていることは正しいのか、事件全体にまで及んで証言の信用性が問われたからです。このポイントを共犯者の弁護人たちが見逃すはずもありません。
だから、あちらこちらの法廷でもこの審議はつくされています。














